貧血

 貧血は、体の血が少ない状態です。もう少し正確にいうと、血液の成分であるヘモグロビンが、少ない状態です。ヘモグロビンは、赤血球の中にあり、酸素を体中に運ぶ重要な物質です。貧血の原因はいろいろありますが、最も多いのは、鉄が少ないためにおこる鉄欠乏性の貧血です。鉄は、ヘモグロビンを構成する最も重要な元素であり、これがないとヘモグロビンを作ることができません。
 鉄がないと貧血になるというのは、一般にもよく知られた事実であり、そのため安易に鉄剤に頼りがちです。鉄剤を飲むと貧血が改善する例が多いのは確かです。しかし、もっと重要なことがあります。それは貧血の原因を確かめることです。いくら鉄剤を飲んで血を作っても、どんどん出血しておれば、ザルで水をくんでいるようなものです。出血の原因として、女性の場合は、生理過多や子宮筋腫による出血が多く、男性の場合は、痔疾や潰瘍からの出血が多いと言えます。ただ、男女を問わず癌が原因となっている可能性がありますので、原因の精査は慎重に行わなければなりません。原因を確かめて出血を止めてこそ、鉄剤を飲む意味があると言えます。鉄剤には、経口薬と注射薬があります。注射薬は間違って過剰投与になる危険性がありますので、できるだけ経口薬を使うようにします。鉄剤を服用後、通常は数ヶ月以内に貧血は改善しますが、ここで服用を中止してはいけません。貯蔵鉄はまだカラの状態だからです。貧血改善後も数ヶ月は鉄剤を飲み続け、鉄を体に貯め込むことが大切です。
 貧血の原因として最も多いのは上記の鉄欠乏によるものですが、貧血の中には鉄が十分にあるのに血液を作ることができないものもあります。このような貧血に鉄剤を投与しても、改善しないばかりか、様々な不都合をおこすことがあります。貧血がある場合は、どの様な貧血なのかを医師に見極めてもらい、病気にあった治療をしてもらうことが大切です。

京都市中京区 内科皮膚科 西村医院

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