胆嚢疾患

 胆嚢は、胆汁という消化や吸収を助ける液をためておく袋です。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢にためられ、胃に入った食物が十二指腸に出てきたときに、胆嚢が収縮することにより放出されます。
胆嚢には、いくつかの疾患があります。


胆石症
 胆石症は、胆嚢の中に石ができる疾患です。胆石の大部分は、コレステロールもしくはビリルビンの固まったものです。コレステロールは、脂質の1つであり、ビリルビンは、赤血球の中で酸素を運ぶ役割をするヘモグロビンの代謝産物です。通常は無症状ですが、時に胆管を詰まらせて、きわめて強い腹痛を起こすことがあります。症状の強い場合や、癌の合併が疑わしいときは、手術にて胆嚢ごと胆石を摘出します。以前は、開腹手術にて行われてきましたが、最近は腹腔鏡にて行うことが主流になっています。これにより、患者さんの苦痛がへり、入院期間も短期で済むようになりました。

胆嚢ポリープ
 ポリープとは、消化管や胆嚢のような中のあいている臓器に、キノコのように盛り上がったものができることです。通常は、良性のものですが、時に悪性のものも含みます。胆嚢のポリープの大部分は、コレステロールの固まった、コレステロールポリープで、特に治療を要しません。しかし、1cm以上のものやデコボコしたポリープは、悪性のものを含むことがありますので、要注意です。

胆嚢腺筋腫症
 胆嚢腺筋腫症は、胆嚢の壁の一部が分厚くなったものです。肥厚する場所によって、底部限局型、分節型、びまん型に分類されます。50歳代女性に多く、通常は無症状で、一般には処置を要しません。しかし、痛みの強いときや、癌との鑑別がしにくいときは、胆嚢切除術を行います。

胆嚢癌
 胆嚢にできる癌であり、高率に胆石症を合併します。60代女性にもっとも多くみられます。早期であれば、胆嚢摘出のみで治癒しますが、進行していれば、周辺臓器の摘出も必要です。