高尿酸血症・痛風

 尿酸は、細胞の中にある遺伝子である核酸が代謝されてできます。尿酸は、腎より尿中への排泄が悪かったり、体内での生成が多いと体の中にたまってきます。尿酸が血中に多い状態を高尿酸血症といい、長期に続くと腎臓に尿酸がたまり、腎臓を悪くします。また、尿酸が関節の中に析出すると、針のようにとがった結晶を白血球が貪食し、炎症が引き起こされます。これが痛風という病気です。痛風は、足の第一趾におこりやすく、赤く腫れ上がるとともにきわめて強い痛みを伴います。
 痛風発作が起こった時は、コルヒチンという薬や、消炎鎮痛剤にて治療します。コルヒチンは、発作の初期のみ有用です。消炎鎮痛剤は、一般に使うよりもかなり大量に必要なことがあります。痛風の治療のポイントは、発作が起こりそうな予兆がしたときに、早めにこれらの薬剤を服用することです。発作がピークに達してからでは、大量の鎮痛剤を必要とします。痛風の予防には、尿酸を上昇させないことです。アルコールは、尿酸の生成を増やし、排泄を阻害しますので、もっとも尿酸値の適正化に好ましくない嗜好品です。さらに、ビールはプリン体という尿酸の元になる物質を含んでいるため、特に注意が必要です。(焼酎は、プリン体をほとんど含んでいませんが、アルコールであることにかわりはなく、尿酸値を上昇させます。)また、肥満は、尿酸値の上昇を助長しますので、体重の適正化に努めましょう。

 高尿酸血症の治療を行う場合、尿酸の排泄低下型、混合型、産生過剰型かの区別をする必要があります。最も簡単なのは、尿中のUAとCrの比をとり、それぞれ0.4以下,0.4〜0.8、0.8以上で判定することですが、血中の尿酸の高い人は、実際より排泄力を多く評価する事になります。血中の尿酸値を考慮にいれた方法として、UAとCrのクリアランス比を求める方法があります。クリアランス比といっても実際にクリアランスを求める必要はなく、(尿中UA×血中Cr)/(尿中Cr×血中UA)で求めることができます。3つ型は、5%以下、5〜12%、12%以上で判定します。しかしこの方法は、クレアチニンの排泄量が正常であることを前提としていますので、腎機能低下例では、排泄力を多めに評価することになります。最も正確な方法は、尿酸クリアランスそのものを計算する方法です。時間尿を採る必要があるので、なれないとやっかいに感じますが、それほど難しくはありません。正常範囲は、尿酸排泄量0.4〜0.6mg/Kg/時、尿酸クリアランス6.2〜12.6ml/分です。これより少なければ排泄低下型、多ければ混合型と診断できます。できれば、このクリアランス試験を行うのが望ましいのですが、現実には、クリアランス比で判定しても大きな差はないでしょう。但し、腎機能の低下している人の評価には注意して下さい。
(尚、上記の判定の数値は、文献によって若干異なります。)

 一般に、尿酸の生成が多い人は、アロプリノール等の尿酸の生成を押さえる薬を服用し、尿酸の排泄の悪い人は、ベンズプロマロン等の尿酸排泄促進剤を服用します。但し、痛風発作が起こったときは、すぐにこれらの薬剤を使用してはいけません。痛風発作中に、尿酸値を下げると、かえって痛風の関節炎が強くなる可能性があるからです。痛風発作がおさまってから、尿酸値を下げる薬剤を服用します。すでに、尿酸値を下げる薬を飲んでいる状態で痛風発作が起こった場合は、薬剤の種類や量を変更せずにそのまま継続するのが原則です。


京都市中京区 内科皮膚科 西村医院

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