◎インフルエンザに対する免疫

 さて、インフルエンザウイルスに自然感染し罹患した場合、その免疫はいつまで続くのでしょうか。この問題の答えになると思われる、興味ある事実があります。1977年に、ソ連カゼウイルスH1N1が流行しましたが、このウイルスは、1950年に流行したウイルスと全く同じでした。27年間いかなる場所に潜んでいたのかは不明です。どこかで凍結状態で潜んでいたのかもしれないし、どこかの研究室から漏れ出てきたのかもしれません。この、1977の流行時罹患者は、ほとんど1950年以降に生まれた人達でした。この事実は、インフルエンザの免疫が少なくとも27年間は存在することを示すものであり、おそらく人は終生同じインフルエンザウイルスでは2度発病しないのでしょう。毎年インフルエンザにかかることがあるのは、インフルエンザウイルスが小さな変異を繰り返すため、以前の免疫が十分に働かないためと考えられます。
 2009年に世界的に流行している豚インフルエンザも、高齢者の患者が少なく、かつ高齢者は重症化することがまれであることが傾向としてわかっており、インフルエンザの免疫が持続することを示唆する事象と言えます。