成人麻疹
麻疹


 麻疹は、高熱と発疹を特徴とする、重篤な疾患です。もともと、小児の疾患として知られてきましたが、最近は成人の麻疹が多発しています。関東地方を中心にはじまった成人麻疹は、全国に広がっており、大学を中心に休校があいついでいます。麻疹のワクチンは、これまで1歳児が受けていましたが、日本人はワクチンの効果より副作用を心配する傾向があり、あえて子供に受けさせない親が少なからずいます。麻疹がきわめて重篤な疾患であることを理解していない方が多いことも、接種率が頭打ちになっている一因です。また、ワクチンを受けても一部の人には十分な免疫が付かないことがあります。これらのことが、麻疹に感受性のある人を生み出す原因になっています。20年近く前にMMRワクチンといって、風疹とおたふく風邪のワクチンを混ぜたものが接種されていましたが、副作用が問題となり、その間の数年は麻疹のワクチンの接種率が急落しました。その摂取率の低い世代が、最近麻疹の流行を引き起こしています。国民全体として、十分な免疫を持たない者が多い反面、ブースター効果による免疫効果の維持がおこるほどの流行がなかったという中途半端な状態が、今回の事態を招いた理由の一つでもあります。
 現在は、麻疹ワクチンは、1歳と学童前の2回接種となり、ようやく他の先進国並みになりました。接種率を上昇させることができれば、麻疹撲滅も期待できます。

まとめると





注:ブースター効果とは、現在持っている病原体に対する免疫力が、再度病原体と接することにより強化されることを言います。これまで、麻疹は一度かかると終生免疫を得ると言われていましたが、時々麻疹ウイルスの感染を受けてブースター効果を得ないと、十分な免疫が持続しないということがわかってきました。