肥満

 肥満は、身長に比して体重の多い状態です。肥満の度合いを表す指標としてBMI(body mass index)という数値を使います。BMIは、体重kg ÷(身長m×身長m)で計算される数値です。BMI が22の時に最も健康で長生きできると言われており、体重コントロールの目標値となっています。日本ではその値が18.5未満はやせ、18.5〜25未満は普通、25以上は肥満と判定します。標準体重は、身長m×身長m×22で計算します。ただ、BMI は脂肪と筋肉の割合など質的なものを見ておらず、体型を表す指標として万能のものではありません。
 体脂肪率は、これは体重に占める脂肪の割合です。男性は15%〜20%未満が、女性は20%〜25%未満が適正値と言われています。体脂肪を測る器械を体脂肪計と呼び、多くはインピーダンス法で測定しています。これは、器械の上に両足を乗せたり、両手で器械を持ったりすることにより、体に電流を流し体の電気抵抗を測るものです。筋肉は電気を通しやすく、脂肪は電気を通しにくいことを利用して、体脂肪率を計算します。測定結果には様々な因子が関与することや、通電した範囲の測定に基づいた体脂肪率の計算値であることを認識した上で上手に利用しましょう。

肥満の分類
 脂肪のつく場所により皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)と内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)に分けられます。皮下脂肪型は皮膚の下につき、尻・太ももに脂肪がつく下半身肥満と言われるタイプで女性に多くみられます。内臓脂肪型は腹部の内臓のまわりにつき、上半身に脂肪がつくビヤ樽タイプで男性や更年期以降の女性に多くみられます。

太るとなぜ悪い
 肥満は万病のもととも言われます。太ってくると体全体に血液を送っている心臓の仕事量がふえて心臓病が起こりやすくなります。また太るもとになる甘いものや脂っこいものを摂り過ぎると血液中に脂質がふえ、血管壁に蓄積すると血管が硬くなり高血圧を起こしやすくなります。また食べたものをエネルギーとして利用するために必要なインスリンが働きにくくなって糖尿病を起こしやすくなります。このように、肥満は血管系疾患や代謝性疾患に深く関与しており、肥満の人はそうでない人より糖尿病は約5倍、高血圧症は約3.5倍、心疾患は約2倍もかかりやすくなります。
 最近、内臓脂肪が動脈硬化に大きな影響をもたらすことがわかってきました。動脈硬化は、血管壁の中にコレステロールを中心とした脂肪が蓄積され、血管壁が硬くなると同時に血管内腔を狭くして、血の流れが悪くなった状態です。進行して完全に血管を詰まらせてしまうと、脳梗塞・心筋梗塞等の重篤な病気となります。内臓脂肪からは、様々なホルモンが出ており、その多くが、動脈硬化を促進するホルモンです。内臓脂肪を減らすことが健康維持に重要であると言われているのはこのためです。内臓脂肪の量を測る最もよい方法は、CTスキャンで臍のレベルでの内臓脂肪の面積を測定することです。この面積が、100 cm2 以上あると、内臓肥満と言います。ただ、通常の診療で肥満の種類を知るためだけに高価な CT を撮ることはできませんので、臍の高さの腹囲を計ることで、内臓肥満を判断します。腹囲が、男性の場合は85cm 以上、女性の場合は90cm 以上を内臓肥満と診断します。女性の場合は、皮下脂肪が多いので、内臓脂肪のみの量を予測する場合は、腹囲は男性より大きな値となります。この腹囲の基準値は、海外の基準と大きく隔たります。海外の基準では、男性の腹囲の基準値は、女性の腹囲の基準値より大きな値となっています。このことを含め、現在の腹囲の基準には疑問を呈する専門家も多く、今後変更される可能性があります。


京都市中京区 内科皮膚科 西村医院

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