尿検査


尿蛋白
 正常な人でも、尿から蛋白は1日150mg程度が排出されています。臨床で使うテープによる検査では尿蛋白が30mg/dl以上を陽性として感知します。尿蛋白が陽性の場合、腎臓病をはじめ様々な原因が考えられます。しかし、心配する必要のない蛋白尿もあり、立っているだけで、蛋白が尿に混じってくる起立性蛋白尿がその代表です。健康診断等では、立位の生活をしている途中で採尿するため、起立性蛋白尿の人を異常者として判断してしまいます。これを防ぐには、早朝尿で検査をすることです。就眠中に膀胱内にたまった尿を調べるので、起立性蛋白尿の人でも、陰性に出ます。健康診断で少量の蛋白尿を認めた方は、まず早朝尿での検査が勧められます。その他、運動後、発熱時にも尿蛋白は陽性になりますが、基本的には心配いりません。これらの無害の蛋白尿は通常微量(1日1g以下)で、一過性です。
 糖尿病性腎症の早期発見という意味で、微量アルブミン尿が注目されています。アルブミンは血液中の主要な蛋白質ですが、腎臓病の早期からごく少量ながら尿に漏れ出てきます。尿中アルブミン値を尿中クレアチニンで割った値で評価し、30mg/gCr以上を陽性とします。更に、尿中W型コラーゲンという検査が、早期糖尿病性腎症の発見に利用されるようになってきました。尿は血液を漉して作り出されますが、濾過膜を構成しているのが基底膜です。W型コラーゲンは基底膜の主成分であり、腎臓の病気になると尿に漏れ出てきます。尿中微量アルブミンが検出されるより早期に、W型コラーゲンは検出されますので、糖尿病性腎症の早期発見に更に有用です。


尿潜血
 尿に血液が混じっている状態を血尿と言います。血尿には、目で見て判断できる肉眼的血尿と検査をしてわかる潜血尿があります。
 血尿を起こす病気として頻度が高いのは尿路結石症と腎嚢胞です。また、病気といえるほどものではありませんが比較的頻度の高いものが、菲薄基底膜症候群とナットクラッカー現象です。前者は、血液を漉(こ)して尿を作る膜が薄いために尿に血液がもれ、後者は、腎静脈が血管に挟まれて腎臓から血液を返しにくくなり、尿の中に血液がもれてくるものです。血尿がある時に最も注意しなければならないのが、癌があるかどうかということです。腹部超音波検査や顕微鏡で尿を調べる細胞診にて癌の有無を大まかにチェックしますが、疑わしいときは膀胱鏡等で精査します。喫煙者は、肺癌だけでなく尿路系の癌にもなりやすいので要注意です。
尿潜血 潜血検査は、尿に血液が混じっているか、すなわち血尿があるかを見る検査です。血尿には、顕微鏡や試験紙で検査をして血尿とわかる顕微鏡的血尿と、肉眼的に明らかに血尿と判断できる肉眼的血尿があります。だいたい、1000mlの尿に1mlの血液が混じると肉眼で血尿と認識できます。顕微鏡的血尿を潜血尿とも言い、顕微鏡で400倍に拡大して1視野に5個以上の赤血球を認める時と決められています。試験紙法は、赤血球中のヘモグロビンの鉄に反応するようにできており、ヘモグロビン値0.06mg/dlを「1+」と表現するように作られています。



京都市中京区 内科皮膚科 西村医院
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